イエメンに対する投資への理解

イエメンは、人口2160万人(2006年)の50%以上を占め、かつ増加を続ける若い世代によりよい未来を提供するために頑張っている後発発展途上国の一つです。

1990年の再統一以来、イエメンは政治的な理由により安全でない投資先としてのレッテルを貼られ、その犠牲となってきました。また、イエメン自身は国際テロのターゲットとなり、テロ攻撃に大いに苦しみました。そのような状況の中で、イエメンは反テロリズム・キャンペーンと協力し、戦略的かつ積極的なパートナーとなっています。

その結果として、イエメンは湾岸協力会議(GCC)、国際通貨基金(IMF)、英国国際開発省(DFID)とともに、2006年11月にロンドンにて開催された第4回イエメン支援国会合において、「イエメンの開発パートナーは、マクロ経済の安定と構造改革を通して、貧困を減少させるためのイエメンの取り組みへの支援を再確認する」という成果を得ることができました。

4年間(2007-2010)で約47億USドルの拠出が誓約されました。これは、援助における大幅な増加であり、政府が概算した必要とされる外部金融の総額の85%以上を占めます。2007年12月末までに誓約された拠出額は53.1億ドルにまで達しています。

拠出誓約には29.2億ドルの無償援助と23.9億ドルの長期低利貸付が含まれています。GCCからの拠出誓約は全体の50%を占め、その大部分がサウジアラビアから提供されます。国際および地域多国間からの拠出誓約は全体の36%、残りは従来からの援助資金提供国である経済協力開発機構(OECD)の加盟国からによるものです。

2007年末までに、イエメン政府は拠出誓約の70%を受け取り、そして割当額の18.5%に相当する融資協定が実際に調印されました。さらに、イエメンは米国のミレニアム・チャレンジ公社の準適格国に復帰いたしました。

国内への海外直接投資を促進するため、イエメン総合投資局はGCCと共同で、GCC及び世界中の投資家をターゲットに、2007年4月22日と23日にイエメンにて投資促進会議を開催し、その結果として不動産と観光セクターへのかなりの額の投資を得ることができました。

イエメンは、イエメンが近隣諸国、アラビア半島、湾岸協力会議の地域機関として戦略的に必要不可欠な存在となるための努力を惜しみません。GCCはその経済圏へのイエメン統合を支援し、また開発拡大と貧困削減に対するイエメンの取り組みを強化するという強い確約を進んで示しました。GCCの正会員となるまで、イエメンは現在いくつかの補佐組織と活動の一員となっています。

この新展開として、アブー・バクル・アル=カルビーイエメン外務大臣閣下が2008年3月2日にサウジアラビアのリヤドで開催されたGCCの外相会議に参加されました。これはこの1年以内にイエメンが参加した3番目の会議であり、これはイエメンの立場が急速にGCC内で展開している明確な表れと言えます。

イエメンには109億バレルの石油の埋蔵量があることが2007年に判明しています。イエメンでの石油生産は国際企業によって行われています。2007年の追加探査活動は今までほとんど開発が行われていなかった沖合いが対象となりました。

イエメンには18.2兆立方フィート(Tcf)の天然ガスの埋蔵量があることが2007年に判明しており、その内9兆立方フィートがトータル社主導のイエメンLNG(YLNG)プロジェクトに割り当てられました。当プロジェクトでは年間670万トン(1日当たり9億立方フィート)の液化天然ガスを生産すると予想されております。工場からはその生産の約3分の2を米国に、その残りをアジアに輸出する計画です。数日前の2月21日にロンドンのトータル・ガス&パワー社は、イエメンLNG液化天然ガス・プロジェクトは予定通り今年末に稼動する予定であることを確認しました。

このプロジェクトの費用は前回の見積より3億ドル増え、40億ドルに上ります。株主は仏トータル社(39.62%)、米ハントオイル社(17.22%)、イエメン・ガス社(16.73%)、イエメン社会保障年金総合局(GASSP)(5%)、韓国ガス公社(6%)、SK社(9.55%)、ヒュンダイ社(5.88%)となっています。

本プロジェクトはイエメンへの最大の直接投資であり、今後20~25年間にわたって最大の単一歳入を生み出すと予想されています。イエメンLNG用に建設されている4個のタンクのうちの2個は三菱重工業によって建設されています。他に2隻のタンカーが韓国にて建造されています。

イエメンには紅海、アデン湾、アラビア海、インド洋に渡る2200Km以上の海岸線があり、とても豊かで素晴らしい漁場を有しています。

イエメンはとても魅力的な観光機会を提供しますが、それにはインフラ及び設備への投資が非常に必要とされています。イエメンには3つのユネスコ世界遺産(首都サヌア、ハドラマウトのシバーム、紅海近くのティハーマのザビード)に加えて、世界の魅力あるエコツーリズムの一つであるソコトラ諸島があります。

2007年9月27日IMF執行理事会は「多くの構造改革で見られる進展と同様に、貧困比率の低下をも含む、イエメンの概して好ましい最近の経済的成果」に歓迎の意を表しました。

総合投資局と在イエメン日本大使館は、イエメンの日系貿易会社と日系投資会社向けの初めてのワークショップを2008年4月13日と14日に開催する準備を終えつつあり、興味ある全ての日本企業を招待しています。

イエメンで最も重要な商業中心地であり、かって1960年代には世界三大港の一つであった最も重要な港であるアデンについて言及すること忘れてはいけません。アデン自由貿易地域は、バブ・エル・マンデブ海峡の近くという優位な場所であり、概してアフリカの角と東アフリカ市場の近接地域という、国際貿易と投資にまたとない機会を提供しています。

結論として、全ての海洋諸国と同様にイエメンと地域の石油産油国にとって極めて重要とされる経済的・政治的な安定を確保するための全ての課題において、イエメンが強化されるためにイエメンは日本からの直接投資を必要としています。イエメンは、地中海・紅海とインド洋を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡の入り口という要衝にあります。海峡は世界で最も戦略的な海路の一つです。イエメンは自由経済をもった地域で先進的な民主国家であり、最もダイナミックで有望な国です。

「危急の際の友こそ誠の友である」と言われる様に、イエメンは日本のパートナーシップを必要としています。

マルワン・ノーマン氏
前駐日イエメン共和国大使
2008年3月5日
東京(日本)

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